令和7年7月23日(火) 京都経営塾 経営体験発表例会
2025年7月23日(火)、からすま京都ホテルにて、「令和7年度 第三回経営体験発表例会」を開催しました。今回は塾歴40年を誇る(株)カワタキコーポレーション代表取締役 川端健嗣塾生を迎え、「稲盛経営哲学を真摯に学び40年 経営でさらに深化させる」と題して、稲盛哲学に基づいた実践経営の軌跡を語っていただきました。

今回の例会は塾内でも注目度の高い回となり、塾生を中心に多くの参加者が集まりました。川端さんの穏やかな語り口からは、長年にわたり稲盛哲学を実践し続けてこられた確かな信念と、深い学びの積み重ねがにじみ出ており、聴く側も自然と引き込まれていきました。

「自らの魂に問い続ける」姿勢からの出発
発表は、川端さんが14歳の頃に父親の病をきっかけに「人生とは何か」と問いを持ったところから始まりました。23歳で専務に就任して以降、「経営とは何か」「経営者としてどうあるべきか」を模索する中で、稲盛塾長との出会いが大きな転機となったことを語られました。1984年、塾長の言葉に触れた瞬間、「ここに本物がある」と直感し、それ以来、塾長例会に100%出席。言葉を完全に模倣し、「尊敬する人が乗り移ったかのように真似る」という徹底ぶりに、会場の多くが感銘を受けていました。
稲盛哲学の真髄「相矛盾する両極端の考え方を併せ持つ」
川端さんの発表には、稲盛哲学の核心である「心を高める」「良心で判断する」ことの重要性が繰り返し語られました。中でも印象的だったのは、「相矛盾する両極端の考え方を併せ持つ」という「利他と利己」、「公と私」は対立するのではなく、両立させることが大切と語られた場面。相反する要素を併せ持つ経営者の器の大きさと覚悟が感じられました。
また、「会社は誰のものか」という問いに対しても、「全従業員が幸せになるための場」と位置づけ、社員と夢を共有し、一体感をつくるための具体的な取り組みとして、会社のストーリーや考え方を語り継ぐ「心創会」、社史やフィロソフィを展示し共有するポータルサイトの「利他ライブラリー」、本音の関係づくりのための「リーダーコンパ」などを紹介されました。

苦難こそ成長の鍵「苦しみが本物をつくる」
発表の終盤では、「苦難の中にこそ幸せになるための鍵がある」と、これまで川端氏が経営の中で出会った困難や試練に向き合う姿勢についても語られました。川端さんは「残されたもの、今あるものを大切にして生きていくことで積極的になる」と述べ、どんな問題でも常に前向きに解決策を求めることが大切であると自身の人生や社員さんとの実体験を通じて体得された“人生の極意”を共有してくださいました。
小さな波紋が、やがて大きなうねりに
最後に、「自らが小石を投げ続ける存在でありたい」という言葉で締めくくられた発表は、参加者一人ひとりの心に静かに、しかし深く響いたように思います。
個人の努力が周囲を動かし、やがて社会に広がっていく──その確信を胸に、今日からまた一歩、実践の日々を積み重ねていきたいと思わせてくれる、そんな学びの時間となりました。